一生に一回の家づくり。できるだけ安く工事費用を抑えつつも、失敗せずに理想通りのマイホームを手に入れたいですよね。
「注文住宅」とは本来、間取りや内装、外装、住宅設備などを自分の意志で自由に決めて作る家のことです。
しかし、結果的に思い描いていた住宅にならずに「これなら注文住宅にしなくてもよかったのではないか……」と、後悔している人は多いです。実際に、私もその内の一人です。
ほとんどの人が後悔する最大の理由は、柔軟性や提案力のない施工業者に依頼してしまい、「型にはまった家」になるか、あるいは高額の追加費用が発生し、予算を大きく超えてしまうことになるからです。
私は常に「優良業者に出会いたい」と考えて工務店探しをしていたにもかかわらず、結果的に理想を叶えてくれる建設業者に出会うことはできませんでした。
それほど、柔軟で優れた提案力と施工力のある業者にめぐり合うのは、難しいものであると考えています。
しかし、逆を言えば、施主(あなた)の希望をうまく汲み取り、予算の範囲でできるだけ形にしてくれる住宅会社を見つけることが、家づくりを成功させるカギであることは間違いありません。
つまり、「業者選び」が家づくりを行う上での成功を握っているということです。
さらに、心配事や問題を解決するヒントを提案してくれる施工者であれば、高い確率で失敗を避けられると考えます。
ただ、そのためには、施主側(あなた)もおさえておくべきポイントはしっかり確認しておくことが重要です。
私の場合、中堅ハウスメーカーで注文住宅を建てました。これは大手に依頼すればよかったというわけではありませんが、やはり後悔している箇所がたくさんあります。
そのため、「もう一度やり直せたら、今度はもっといい家にできるのに……」と落ち込みました。
新築後に「これぞ注文住宅」というお宅2軒にお邪魔する機会があったのですが、どちらも素晴らしいものでした。これに関しては、施主の方が考えられた部分も多かったのは間違いありません。
ただし、それに対して完璧な対応や、予想を超えた提案をしてくれる建築業者に依頼されたことが成功のカギだったようです。
このページでは、マイホーム建築に後悔している経験者だからこそ分かる「注文住宅建築を成功させるためにおさえておくべきポイント」についてご紹介します。
これを知っておくことで、家づくりを依頼する施工者さえ間違わなければ、注文住宅を建ててから後悔するリスクを最小限に抑えられるのではないかと断言できます。
なお、家づくりの成功・失敗を左右する「業者選び」ができていない方は、「タウンライフ家づくり」というサービスの利用をオススメいたします。無料であなたの家の近くにいる工務店から一括で資料請求ができる上に、しつこい営業は一切ないからです。
目次
1.施工者選びがマイホーム成功の一番のカギ
「安かろう悪かろう」という言葉がありますが、建設業界はまさにこのことわざが当てはまります。そのためか、ローコストメーカーの家を悪く言う人は多いです。
たしかに、安い家で品質が良くないものが多いのは、あながち間違いではないかもしれません。では、高価な建築費のかかる大手ハウスメーカーの家なら「もっとも高品質で長持ち」する家なのでしょうか。
私はそうは思いません。
なぜなら、大手ハウスメーカーの宣伝広告費や全国の豪華な展示場維持費などは、とても高額になるからです。これらにお金がかかっている会社ほど、利益がたくさん必要です。
当然のことながら、これらの費用は私たち家を買う側の人間が支払う「建築費」から出ています。
つまり、材料費や人件費のほかに、大きな利益が乗せられているからこそ、それらを維持できるということです。
ハウスメーカーの建物価格に対しての利益(利益率)は、3割前後が最も多いと言われます。なかには、4割もの中間マージン(手数料)をとる会社もあるようです。
たとえば、2,000万円の注文住宅を購入する場合、600~800万円はメーカーの利益だということです。これだけのお金があれば、家の家具を一式揃えてもお釣りが来ます。
また、私は色々な家を見てきましたが、大手ハウスメーカーだからといって、見映えがいいわけではありませんでした。これだけの利益をチャージしているにもかかわらず、サイディング外壁で、賃貸住宅のようなフローリングとクロスの家はたくさんあったのです。
正直、「この値段でこのクオリティ?」と絶句してしまったこともあります。
家を建てる前に、ハウスメーカーのモデルハウスがずらりと並んだ「総合住宅展示場」へ行くという方は多いと思います。
実際に、国土交通省住宅局による住宅市場動向調査データを見ても、約半数の人は住宅展示場で情報収集をしたということが統計でわかっています。
私もその一人です。
たしかに、注文住宅を計画するうえで、住宅展示場に行くことは悪い経験ではないと思います。
しかし、営業担当者の言うことを鵜呑みにせず、冷静な判断をする目と知識を持ってからいくことが大切です。
この項では、ハウスメーカーや住宅展示場を訪問する前に心に留めておきたい注意点についてご説明したいと思います。先に心積もりしておくことで、できる限り理想に近い家を叶えたり、費用を節約したりすることもできるのではないかと考えています。
1-1.ニーズに合った提案をしてくれる施工業者を選ぶ
ハウスメーカーの注文住宅は「規格住宅」であるといっても過言ではないと思います。
まず間取りに関しては、設計してもらうというより、いくつかのパターンの中から選んだものを提案されるというイメージです。
「カスタマイズできる部分が少しはある」という程度ではないでしょうか。
しかも、建てる土地によって可能な間取りは限られるため、場合によっては数種類の中からしか選べないこともあるでしょう。これでは、建売住宅を購入するのと大差ありません。
次に、設備や内装、外装も「予算内」で自由に選ぶことはできないのが一般的です。
たとえば、「キッチンはトーヨーキッチンで、お風呂はINAX、トイレはTOTOで洗面はタイルで造作してもらいたい」ということを実現するには、相場を大きく超えた費用が必要になります。
もちろん「床は無垢材で壁は珪藻土がいい」ということも難しいです。
工務店と大手ハウスメーカーとでは、同じものを使った同様の構法の家であっても、総額が1千万円以上違ってくるというのはよくある話です。
それなのになぜ、大手ハウスメーカーの家は人気があるのでしょうか。
これは単純に、「誰もが知っている会社で建てた」という安心感と虚栄心が満たされることにあります。
そのほか、保証面の充実や売却時の付加価値が付くというメリットがあります。
ただ長期保証に関しては、地元工務店などでも、長期優良住宅認定を申請できるところは多くなっています。
ただし、長期保証を得るためには、「定期点検で指摘された箇所の修繕をすること」が前提となります。これは当然、有償です。
たとえば、外壁が劣化した場合、修繕しなければ構造材に影響します。このとき、直すように言われたのにリフォームをしなければ、保証をしてもらえません。
当たり前のことではありますが、無料で経年劣化の分まで保証してもらえるわけではないのです。あくまでも、「適切に維持管理した」うえでの保証であると考える必要があります。
そして大手ハウスメーカーでの修繕工事はやはり割高です。
全く同じ工事をして工務店の方が圧倒的に低価格であることを考えると、保証面で大企業にこだわる必要はないという意見も多くあります。
私の場合、実際に依頼したハウスメーカーのほかに、大手2社ともやりとりをしていました。
そのうち1社は、品質の割に高額で利益率も高いと噂のところです。毎日のようにテレビCMを見かける超大手企業です。それでも、私も一応一通りの話は聞き、工場見学やオーナー宅訪問などもしました。
しかし、どうしても価格に見合ったクオリティの家だとは思えませんでした。
ここでは、予算を聞かれる前に「ローン事前審査をしてどのくらい借り入れられるか調べましょう」と言われます。予算を伝えたところ「もっといい家が建てられますよ」と予算アップを提案されました。
借りられる限界まで借りさせて、高い家を建てさせようということなのでしょうか。このような顧客のニーズに合わない提案をしてくる施工者は、早めに候補から外したほうがいいでしょう。
途中で支払いが厳しくなり、破綻することが目に見えるからです。
ただし、大手ハウスメーカーを全否定するつもりはありません。優良ストック住宅推進協議会のように、大企業の家は市場に出たときに付加価値があるというのも事実です。
実際に大手にこだわるかたも多いですし、工場生産するメーカーなら施工品質にばらつきがないことや、独自のタイル外壁なども魅力です。
しかし、項目ごとの詳細な見積が分からない業者で建てる場合は、見積の段階で細かい仕様などをはっきりさせてから契約することが大切です。
あなたの理想を叶えてくれる業者を見つける方法としては、「タウンライフ家づくり」を利用することをオススメ致します。大手・中堅ハウスメーカーはもちろんのこと、あなたが住んでいる地元の優良業者の資料を一括で請求できるサービスです。
展示場のように、業者から営業をされることなく、近くに所在する工務店の情報や間取りプラン、さらには土地の情報までを無料で一括請求できます。その中から、あなたが気になった会社を選んでもいいですし、気に入らなければそのままにすれば良いだけです。
あくまでも多数の会社に一括資料請求をするだけであるため、そもそも断らなくても良いということです。
私の場合、展示場へ足を運び、そこで営業マンの口車に乗せられた経験があります。
しかし、タウンライフ家づくりの場合、業者に会うことなく、しかも複数の工務店から資料を無料で請求できるところが最大の魅力です。注文住宅の購入はより多くの情報を入手した人だけが成功できます。
あなたの理想を叶えてくれる優良業者を見つける一つの方法として、「タウンライフ家づくり」の利用は必須であると言えます。。
1-2.希望を明確にして、予約してから行く
総合住宅展示場で、いろいろな家を順番に見て回るのは楽しいものです。
ただ、いきなり行くのはおススメしません。
たいていの場合、「最初に応対してくれた人物」があなたの営業担当者になってしまうからです。同じ理由で、WEBで資料請求などをしても、送ってきた人が、あなたの担当者になる可能性が大きいです。
営業担当者との相性は家づくりにおいて、とても大切な要素であると考えてください。
そんなことを言われても、どの担当者があなたに合っているかなんて、わからないですよね。そこで、おススメしたいのは、次のやり方です。
- 目当ての展示場を予約する際や資料請求をする際に、自分の希望をできるだけ具体的に述べる
- 「○○に詳しい人に案内してもらえるようにお願いします」等とこだわりたい点を言っておく
- 営業担当者のブログなどが見られる場合は、一番有意義な情報を発信している人を指名する
私が依頼したハウスメーカーでは、建築請負契約までの間取り決めは、営業担当者のみと行いました。設計やその他の担当が登場したのは、窓の数や、設備、内装などの細かい内容を決める時からです。
つまり、一番大事な「契約前」の部分にかかわるのは営業担当者です。
そのため、「どのような家を建てたいか」を契約前にできるだけ具体的にして、その仕様での見積額を出してもらっておくことが大切になります。
重要なポイントとして、契約段階での見積書に入っている仕様が、建築請負契約書に記載されている建築費になると考えてください。契約してから決めることには、「追加費用」が発生するということを頭においておきましょう。
契約後に細かい打ち合わせが始まりますが、予算内で理想の家を建てるうえで一番大事なのは「契約までに決める部分」です。そのためには営業担当者のスキルが重要なのです。
これらのことから、施工者選びも大切ですが、営業担当者も大切であることを確信しました。
窓口となる人が、あなたのニーズに合った提案をしてくれる人であれば、マイホーム建築計画は滑り出しの良いものになるでしょう。
2.ランニングコスト(維持費)を考える
巷では「今の家賃程度の返済額を毎月支払えば家が買える」という言葉をよく見聞きします。
しかし、この情報を真に受けるのは危険です。金利の変動やその他諸費用などは含まれていないため、最低金額を提示されているからです。
当たり前のことですが、持ち家には毎年の税金や火災保険料、10~15年に1度程度のメンテナンス費用などがかかることを忘れてはいけません。
そして、ボーナス払いというものも賃貸住宅にはありません。
この項では、賃貸暮らしの時にはかからなかった費用についてご説明します。
これを「家を建てる前に」知っておくことで、家を持つことによって将来かかる負担を少しでも軽減できるかもしれません。
2-1.賃貸住宅暮らしにはかからない費用をプラスした返済計画を心がける
資金計画の前に、注意しておきたいことは以下の通りです。
- 固定資産税・都市計画税の相場を調べ、それを12カ月で割った額を毎月プラスして考える
- 修繕費として毎月1万円を積み立てると考える
- 住宅ローンのボーナス払いはしない
たとえば、これまで家賃や共益費、駐車料で8万円ほど支払っていたとします。
この場合、固定資産税月割相当額と維持費1万円を引いた額をローン返済月額に設定して、はじめて賃貸と同等の支払いとなるということです。
毎月の家賃を楽々支払えていたなら大丈夫かもしれません。
しかし、生活がやっとという状況だったなら、予算を考え直す必要があります。
たとえば、固定資産税と都市計画税の合計が年間20万円である場合、約1.7万円/月となります。このケースだと、毎月の返済額は5.3万円程度に抑えて初めて、今までと同等レベルの生活ができることになるのです。
これが新築の場合、最初の3年(認定長期優良住宅なら5年)は固定資産税が半額になります。
しかし、特例期間終了後は支出が増えるため、最初から4年目以降の額で考える必要があります。そうすると、生活が軌道に乗る頃まで、うまく家計バランスが保てるのではないかと思います。
私の見解としては、ボーナスでの返済はしないほうが賢明です。
なぜなら、ボーナス払いというものは賃貸住まいの時にはなかったものだからです。ボーナス月に大きな出費があると、年間の支出が狂います。これまでボーナスでまとまった貯蓄や臨時費用への充当をしていたり、毎月の赤字を補てんしていたりしていたならなおさらです。
当初は毎月返済のみで、余裕があればボーナス分を「繰り上げ返済する」という形でも同様の効果はあります。そのうえで、月々の返済額に無理のないプランにすることが重要なのです。
具体的に、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
- 借入金額:2,500万円
- 借入期間:当初30年(ボーナス払いあり:24年)
- ボーナス月返済増額分:12万円(年間24万円)
- 金利:全期間固定1.10%(2017年2月時点、主要金融機関フラット35金利)
- 団信保険料:毎年払い
ボーナス返済なし | ボーナス月繰上返済 | ボーナス返済あり | |
---|---|---|---|
返済期間 | 30年 | 24年1カ月 | 24年 |
返済月額 | 81,563円 | 81,563円 | 78,848円 |
ボーナス月増額分返済額 | なし | 毎年24万円繰り上げ返済 | 12万円 |
総返済額 | 29,362,632円 | 28,500,934円 | 28,467,728円 |
利息の割合 | 14.9% | 12.3% | 12.2% |
団信保険料など諸費用 | 1,446,700円 | 1,175,400円 | 1,144,300円 |
総支払額 | 30,806,332円 | 29,676,334円 | 29,612,028円 |
※試算にあたり、住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションを使わせていただきました。
2,500万円を30年ローンで借り入れると、ボーナス返済なしの場合、月々の支払いは8万円強となります。
一方、ボーナス返済ありで24年ローンにした場合、月々の支払いは8万円弱と少し安いです。その代わりに、ボーナス時の支出が12万円増えます。
これをボーナス返済ではなく、ボーナス月に12万円(年間24万円)を毎年繰り上げ返済する形にするとします。この場合、期間も総支払額もボーナス払いをした場合とほぼ同じになります。
たしかに、月々の支払いが少ない方が、毎月の生活に余裕があるようにも感じられます。
ただ、ボーナスは必ずしも支給されるとは限りません。
そのため、これをあてにして返済を焦るのは危険なことです。ボーナス払いを初めから設定しておくと、もし資金計画に問題があった場合、取り返しがつかなくなるかもしれません。
早く返済することにこだわる人は多いですが、返済中の生活を維持することもリアルに考えるのが資金計画です。返済中に貯蓄が出来ず、子供の教育資金がなく教育ローンを借りるような事態になっては本末転倒です。
まずは月払いのみで返済し、生活が軌道に乗ったときに余裕があれば繰り上げ返済する形のほうが賢明でしょう。
2-2.光熱費を抑える家をつくる
昔に比べると気密性・断熱性の高い家が増えてきました。
ただ、日本の住宅の断熱性能は世界最低レベルだと言われています。省エネ性の高い家を作るには、窓と空気の流れを考えることが重要です。
わが家の場合、採光(さいこう:日光を室内にとりいれること)計算の都合で、リビングに吹き抜けを作る必要がありました。これに加え、間取りの関係でリビングからの直線階段になってしまいました。
その結果、まともに2階の冷気が階下に入ってきます。暖かい空気は上昇するため、冷たい空気は足元にきます。
夏は冷房がよく効きますが、冬はエアコンだけでは寒いです。
重視すべきなのは、夏の暑さより冬の寒さです。夏は外気温35℃、室温28℃としても10℃弱の差です。
しかし冬は外気温0℃、室温21℃と考えても20℃以上の差が生じます。
つまり、光熱費は冷房時よりかなり多くかかることになります。この経験から、開口部や空気の流れに配慮することがとても重要であることを学びました。
これらの後悔から、もう一度家を建てるなら採用したい点は以下の通りです。
- 吹き抜けがあるなら、天井にファンをつけて上から下への空気の流れを作る
- リビング階段にするなら、階段の上り口にビルトインエアコンをつける
(できればリビング階段にしない) - 必要以上に大きな開口部を作らない
- 窓は高性能トリプルガラス樹脂窓など断熱性の高いものを採用する
- 窓は遮熱タイプではなく断熱タイプにする
- 勝手口をなくすのも一手
わが家は北玄関の南リビングなのですが、南側の家の裏がリビング前になっています。隣のお宅のエコキュートが、リビング掃き出し窓の前にドーンと立っています。
リビングから見えるのは、南側の家の裏口だけです。そのため、「正直大きな窓は要らなかった」と後悔しています。断熱窓といっても、壁部分よりは寒いからです。
また、同じくキッチンからの勝手口も大きな開口部です。リビング同様、エアコンをつけていてもとても寒く感じます。私は勝手口をほぼ使わないため、必要なかったと後悔しています。
これは断熱性とは関係ありませんが、防犯面からもないほうがいいかもしれません。
私の近隣でも空き巣が多発していますが、ほぼ勝手口からの侵入だということです。未遂に終わったものの、勝手口のカギをバーナーで焼かれたお宅もあるようでした。泥棒はたいてい目立たない裏口から入ります。
たとえ玄関ドアがピッキング防止力に優れていても、勝手口が簡単に開けられるなら意味はありません。いっそなくしてしまうのも一つの方法だと思います。
2-3.メンテナンス費用を抑える家をつくる
住宅の修繕費でもっともお金がかかるのは日光、風雨などの外気にさらされる部分です。
つまり外壁と屋根です。
これをメンテナンス性の高いものにすることで、初期費用はかかっても、将来かかる修繕費を抑えることができます。
ただ、管理がしやすいものはタイルですが、初期費用が数百万円単位で増えると思われるので難しいかもしれません。
もっともポピュラーな窯業系サイディングでは、シーリング(サイディングの継ぎ目)を高耐久のものにしたり、そもそも継ぎ目のないタイプのサイディングを選んだりする方法もあります。
これならタイルの半分以下の初期費用追加で、本来10~15年に一度の修繕を30年に一度にできる可能性が高いです。
同じ理由で、ベランダも10年に一度、1坪程度の広さなら10万円程度のメンテナンス費用が必要だと言われています。
これは私の身内の話ですが、ベランダ修繕を放置していたところ、下の部屋に雨漏りがありました。雨漏りが起こってしまうと、構造材にも被害が出て、家の寿命に大きくかかわってきます。
このことを考えると、ベランダも同様にメンテナンス性の高いものにするに越したことはありません。
たとえば、30年の防水保証がある「ステンレス鋼板による金属防水工法」にするのがおススメです。屋上庭園などにも使用されている工法であり、最も漏水被害の少ないベランダ工法です。
ただ、その分費用も高額になるため、下に部屋がない造りにするか、思い切ってベランダのない家にするのも一手でしょう。
このように、維持費のかからない家にするためには、初期費用をかけてメンテナンス性の高い素材を選ぶことも重要です。そのためには、見積明細書がきちんと掲示され、かかった資材や設備に対して明確な価格表示がされる施工者を選ぶことが大切であると考えてください。
3.動線は実際の生活をイメージして考える
建物のなかで、人が生活しながら動く経路のことを「動線」といいます。
私はこの点についても、ゾーニング(配置)の段階から十分に考えていたつもりでした。具体的には、キッチンと洗面は隣り合わせで行き来しやすくし、洗面は玄関からもキッチンからも出入りできるように2カ所に入り口を作ったのです。
しかし、生活を想像している段階では気づかず、実際に住んでみてから気づくことも多いものです。
この項では、実際に生活する動きについて見落としがちな動線についてご紹介します。
3-1.家事動線は最終工程まで考える
実際に生活してみて分かったことは、「洗濯物を干しに行くベランダが洗面室から一番遠い」ことです。
たしかに、洗面とキッチンの行き来はしやすいのです。
ただ、干す場所を洗面所から一番遠い部屋にしてしまっていました。敷地内ギリギリいっぱいに家を建てているため、1階に洗濯物を干すスペースを取ることは考えていなかったのが原因です。
しかし、近隣を見ると、意外にも1階の狭い建物周囲に物干しスペースを作っておられるお宅は多いのです。
たいていの家は1階に洗濯スペースがあると思うので、動線をしっかり考えておられたのでしょう。
私は南にある2階のベランダが物干しスペースだと決めつけていたので、洗濯カゴをかかえて階段を上る毎日です。カゴの角で壁を擦ってしまうことも多く、クロスもところどころ傷付いています。
こんなことなら1階にテラス屋根をつけて物干しスペースを作っておくべきでした。ただ、エクステリア業者などで後からテラス屋根をつけると、外壁に穴を開けることになるので住宅の保証面に影響が出るそうです。
共働きなどの場合、毎日の動線をきちんと考えて家事の負担を軽くすることは大切です。
一番いいのは、室内に物干しスペースを作っておくことです。わが家の場合、十分なスペースは取れなかったものの、洗面室に下の商品のような簡単な物干しは作りました。
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(画像引用元:株式会社川口技研)
しかし、狭い上に出入り口が2方向にあるため、洗面台の前にしか設置できませんでした。実際に干すと、洗濯物が邪魔で洗面台が使えなくなります。シミュレーション不足でした。
家事動線については、きちんとはじめから終わりまでの流れを想像して、実際に動いてみるといいかもしれません。
3-2.視線の動線についても考える
たとえば「トイレのドアが玄関から丸見え」といった、視線の動線についてもシミュレーションしましょう。
わが家もトイレは玄関横にありますが、格子状に柱を立てて隠す形にしました。
盲点だったのは、浴室から洗面、キッチン、勝手口が一直線になっていることです。お風呂から上がって洗面所とキッチンの間の戸を開け放しておくと、勝手口から丸見えなのです。
実際には、勝手口の扉のガラスは不透明なので外からは見えず問題はありません。
ただ、やはり気になってカーテンを付け、開かずの扉と化しています。断熱や防犯の面から考えても、いっそ勝手口は要らなかったかもしれないと思っています。
他にも臭いの動線や音の動線で失敗したという体験談もよく聞きます。
たとえば、ダイニングから上るタイプのリビング階段だと、焼肉などをすると臭いが2階まで充満します。ダイニングと対面しているキッチンの換気扇を強にしてもです。これも私の失敗例です。
音については、寝室の真下がキッチンの場合、深夜電力を利用して食洗機をかけるとうるさくて眠れないという意見をよく聞きます。
家事動線だけでなく、視線や臭い、音の動線も住んでみないとわからないことです。
もちろん、多くを求めすぎかもしれませんが、家づくりのプロなら、こういったことも気づいてくれるものではないのかと私は思います。そのためには、やはり提案力のある施工者や担当者とのめぐり合わせが大切なのだと感じています。
4.見落としがちなチェックポイント
注文住宅を建てるときには、細かい打ち合わせがあります。間取りを決めた後は、住宅設備を選び、壁材や床材などの内装、外壁材、サッシやドアなどを決定します。
ただ、これだけ細かく決めているのに、最後まで見落としていることもあります。
この項では、「建ててからでないと分からない注文住宅」特有の失敗について、私の経験に基づきご紹介します。
施工者側の確認漏れもありますが、以下で紹介するのは、建ってしまってから気づいた「とても残念に感じている部分」です。後悔だらけの家にしないために、見落としがちな以下のポイントについても確認しておいてください。
4-1.軒の出と庇と雨どい
これまで昔ながらの軒(のき)の出の長い家、またはマンションなどでしか暮らしたことがありませんでした。
ただ、実際に注文住宅に住むまで気づかなかったのですが、最近の家は軒の出がほとんどないものが多いです。
軒がないとどうなるのかというと、まず雨が降った時にサッシに雨が直接あたり、とてもうるさいです。ひどい時には、テレビの音が聞こえないほどです。
また、夏場などに窓を開けっぱなしにしておくと、急な雨で部屋の中がびしょびしょになります。屋根の形状によっては難しいと思いますが、軒の出はある程度あったほうがいいと思います。
わが家は2階の床面積が1階とほぼ同じ造り(総二階)のため、玄関に追加で庇(ひさし)を付けてもらいました。庇だけが飛び出す形のものなのですが、これが予想外に不格好なものなのです。
外観予想図では描かれていなかったので、建ってみてからびっくりしました。
実はこれが一番の失敗ではないかと思っているほどです。「家の顔」が気に入らないものになると、想像以上に悔しいです。追加で何かを取り付ける際には、口頭ではなく必ず図面で確認することをおススメします。
雨どいが目立つ取り付け方だったのも残念だった点です。
私の想像では、下の画像のYKKのエントランスシステムひさしのような、目立たないように内部を通る雨どいでした。

しかし、実際は下の画像のような、正面から見てもとても目立つ取り付け方になってしまいました。

そして、雨どいの色も茶色にしたつもりが、「軒どい」という屋根に平行して取り付けるものの色が茶色で、「竪(たて)どい」という垂直にとりつける雨どいは白でした。
「竪どいは、普通外壁の色に合わせるものだから、それでいいと思った」のだそうです。
ただ、外壁がアイボリーなのに、真っ白なのも目立つ印象でした。アイボリーに茶色の雨どいの画像を見つけて、いい感じだったので、その画像も渡したはずなのです。
しかし、ここまで目立つ形で取り付けたら、茶色だとますますおかしいのかもしれません。雨どいはわざわざ目立たせるものではないし、また工事のやり直しになるので諦めました。
軒の出は屋根の形状なので仕方がないですが、家を長持ちさせる面から考えても、できればあったほうがいいです。庇や雨どいは盲点です。必ず、外観図面で確認させてもらうほうがいいと思います。
4-2.エアコンの容量と位置
リビングなど広い部屋の場合、エアコンは重要です。わが家は以前の借家で使っていたエアコンがまだ新しかったので新居へ移してもらいました。
ただ、暖房の効きがとても悪いのです。14帖用のものを、15帖の吹き抜け・リビング階段ありのLDKで使っているので、容量が合っていないのですね。
高気密高断熱住宅なので、少しくらい容量が小さくても大丈夫だと思っていました。
しかし、家電店で確認したところ、部屋より大きめの容量のエアコンを使ったほうが負荷もかからず、電気代も安く故障しにくいのだそうです。
ハウスメーカーの展示場も同じく吹き抜け・リビング階段がありましたが、天井埋め込み型のエアコンがリビング階段の上り口についていたので暖かかったのです。
しかも吹き抜け天井にはシーリングファンがついていて、下に風を送るようになっていました。暖かい空気は上にいくので、あるのとないのとでは違いがかなりあるでしょう。
また、エアコンは室外機の場所にも注意が必要です。2階に取り付ける場合、すぐ裏にベランダがあれば簡単ですが、なければ配管を長くし、地上まで引っ張るのが一般的です。
そうなると、配管やカバーの費用が追加でかかることと、取付け箇所の真下に窓などがあれば曲げるためにジョイント部材なども必要になります。
新築住宅の場合、容量や保証の点から考えても建築施工者に取り付けてもらうのが一番いいかもしれません。値引きの代わりにエアコンをサービスするという施工者も多いようです。
4-3.ダイニングの壁紙
水廻りの壁紙は防水仕様のものにしてもらえることが多いです。
ただ、ダイニングはリビングと繋がっているのがほとんどであるため、同じ壁紙になるパターンが一般的です。わが家はキッチンの裏が腰壁なのですが、そこにダイニングテーブルをくっ付けて使っています。
これも住んでから気づいたことなのですが、ホットプレートや卓上天ぷら鍋などを使った際に腰壁が汚れることが多いのです。他の部分に比べて、かなり汚れが目立ちます。
ダイニングは水廻りではないので盲点ですが、もしダイニングテーブルに接する壁があるなら、その部分だけでも防水仕様の汚れが取れやすいものにしておいたほうがいいと思います。
このように、致命的な失敗からささいな後悔まで、建ててみてから分かることは色々あります。壁紙や雨どいなどなら、比較的簡単に取りかえることもできます。
しかし、軒の出や庇は建て替え時でないと直せません。後悔のない家にするためにも、慎重に確認し検討することが大切です。
まとめ
何事も、経験してみなければ結果は分かりません。私は、家づくりはその典型であると、つくづく思います。
その一方で、一度で後悔の少ない家を建てられている方がいるのも事実です。
その人たちに共通していることは、満足のいく施工者に出会えたことだそうです。
私がこの記事で挙げた数々の失敗は、私の勉強不足が原因なのかもしれません。
しかし、「良い施工者なら、建てる前に提案してもらえたのではないか?」と思うこともしばしばです。間取り決めや内装打ち合わせなどでも、複数の施主をかけもちされているせいか、正直に言うとどこかやっつけ仕事のような感が否めませんでした。
もちろん、建てる側が勉強することも大切です。
予算の面などでも制約の多いハウスメーカーなどでは、採用したくても諦めなければならないことも多いです。こう考えると、注文住宅ではないのでは?と思ったのも事実です。
ハウスメーカーを全否定するわけではありませんが、価格を明確にしてくれないことが、こだわりを奪われる原因になったような気もしています。
そのために、ハウスメーカーで建てるなら、契約見積の段階で、かなり詳細な仕様まで詰めて決めておくことをおススメします。
もし、もう一度家を建てられるなら、ここは考え直したいと思うことについて書かせていただきました。
あなたには私のような経験をしてほしくはないため、「タウンライフ家づくり」を活用して、あなたのことを第一に考えてくれる優良業者を見つけ出してください。あなたが住んでいる地域に存在する工務店の資料を無料で一括請求できるため、理想を叶えてくれる建築会社を見つける鍵になります。
強引な営業は一切なく、単なる資料請求なので断る必要すらないのでオススメです。
あなたがまだ家を建てていないなら、できるだけ多くの経験者に失敗談を聞くことをおススメします。あなたのマイホームを成功させるのにもっとも有効な手段だといっても過言ではないからです。
施主の希望をうまく引き出して形にしてくれる施工者に出会うことが一番の成功のカギです。私の失敗例を参考に、希望通りの家づくりに役立てていただければ幸いです。